Stalk Hunting

 

お正月に単独で忍び猟をしました。

 

その時の様子です。

 

快晴で暖かい新年

 

今年は雪が少ないですが、当日は快晴で暖かく気持ちのいい日でした。

 

いつも通り軽く山歩きで情報収集できればいいくらいにのんびり進みます。10時くらいに入山です。

 

行く場所の目星は付けていく

 

地図上で獣のいそうな場所を探して、それらを結んだ楽な経路を考えて行きます。

 

植生を考える

 

今回入った地域は、杉檜などの人工林が多く、広葉樹などの天然林は山の上などに限られます。その方が獣の餌場など特定しやすくやり易いかもしれません。

 

高いところに登ったときなどは、周囲の広い範囲を見渡して、実際に天然林が残っている場所などを、地図を確認しながら記録しておいて、また別の日に偵察に行ったりします。

実際に歩いてみると

 

標高の低いところやなだらかなところは人工林で覆われていて寒いです。獣の痕跡は狐や兎くらいしかありません。

 

稜線に出て、天然林の中を進んでいきます。古いヒズメの足跡が続いています。足跡のストライドとストラドル幅から猪だとわかります。足跡が古いのでそれは無視しました。

 

1時間半ほど歩いたころ日差しが気持ちよかったので、日当りがよく風の当たらない広くてなだらかな鞍部で休憩します。メスティンに入れてきたお昼ご飯のヤマドリ丼とみそ汁をゆっくり食べました。雪の無い落ち葉のところを探してサーマレストの座布団を使っていたのですが、さすがサーマレスト、お尻が暖かい。

 

偶然かもしれませんが、のんびりした後はなぜか獣を近くで見つけたりすることが多々あるので、天気のいい日はあえてのんびりします。

 

新しい痕跡を見つける

 

1時間くらい昼食休止をとっていたのですが、5mくらい下の方に新し目の猪の足跡が複数見えます。行く準備をして、なんとなく足跡に付いていきます。20mくらい進むと単独で新しいニホンジカの足跡と糞も落ちています。足跡の進む方向や周囲の地形をGPS端末の地形図で確認すると、東向きに広がるとてもなだらかな斜面です。

 

獲物が近いと感じたので、薬室に弾を装填し、撃針をデコックしておきます。弾倉には1発。足跡を追いながらゆっくり斜面を登っていくと、平らな斜面が反対側に見えてきました。1歩毎に日向の雪がきしむので、ゆっくり進み、しばらく止まります。

 

鹿の新しい足跡と尿の痕跡があり、猟師の魂が勃起します。 

発見と接近と観察

 

一瞬ですが視界の端に何か動いて見えなくなりました。鹿だと思い銃のボルトハンドルをコックして安全装置をかけます。こんな時、意外なところに獣はいたりするのですぐに動くと獣に発見されて先手を打たれます。心拍数が高くなりますがこらえて静止し、周囲の気配を感じ取ります。しばらくして少なくとも見えている範囲には獣はいないと思い、1歩進みます。

 

猪の群れでした。昼食の場所から100mくらいの場所です。岩や切り株に見えるものも双眼鏡で確認し少なくとも8頭います。みんな地面を掘るのに夢中でどの個体も周囲の警戒をしていません。獣の意識の外側に入り込めたのでゆっくり観察します。

 

群れの動きを止めたかったので、群れのアルファ個体を探しますが、みんな無警戒なのでよくわかりません。とりあえず大きな個体で安全・確実に撃てる個体を狙います。 

発砲と第二射

 

群れはゆっくりとこちらに登ってきていたのですが、木々の間から狙っている個体がしっかり見えて、こちらと目が合い動きが止まりました。その瞬間、銃が自然に撃発されてスコープ越しに猪が即倒するのが見えます。射距離約50mで頸部命中。即座に再装填して静止します。即倒個体のすぐ側で幼獣が動いていますが、周囲を観察します。

 

幸いこちらの位置はばれていない様です。期待通り群れの動きが止まり、逃げ出す個体もいません。猪にとっては致命的な異常事態になっているのはわかっていても、どこにどんな異常や危険があるか察知できていないので動きようが無い感じなのかもしれません。

 

残弾1、すでに大きな獲物は捕れているので確実な個体を狙います。左下の方、射距離40mほどで幼齢個体が2頭重なって見えます。1頭目の頭部に照準して撃発。2頭即倒したのが見えます。排莢して周囲を観察します。こちらに気が付いた個体がいて、谷の方へ下っていきましたが、幼齢個体はまだ残っています。こちらが立ち上がるとみんな逃げていきました。

処理と搬出

 

獣をそれぞれ放血、内蔵を摘出します。小さい個体はロープで引きずることにしますが、成獣は内臓抜きでも微動だにしない重さです。とりあえず40Lのバックパックに入るだけ肉を切り取って入れ、残りの大半の部分は雪に埋めて後日回収することにしました。幸い今回は1㎞ほど沢をまっすぐ下れば車に戻れます。沢も緩やかな優しい感じで、途中から古い林業歩道も出てきました。それでもやっと車まで到着して帰路に着きました…

 

こんな感じの場所でした

 

捕獲個体

 

これでも凄く重くて一人では搬出不可能だった…

 

雌成獣で年齢は3歳前後くらい。美味しかったです。