Call Hunting

 

山では鹿の発情期が始まり、雄鹿のラッティングコールが聞こえています。

それを頼りに忍んだり待ったりして、鹿を捕まえています。

 

猟期前ですが有害鳥獣捕獲としてやっています。

あらためて、教室はけっして狩猟メインではないのですが…

 

よく忍び猟や狩猟に繋がる内容を記録に残しているのですが、教室では狩猟がメインフォーカスではなくて、自然の中で生きる為に必要な技術全般をやっています。忍び猟は捕る以外にもいろいろな練習のためでもあって、例えば野営や地図読み、追跡、動き方、気象予測、危機管理などたくさんの事を学びます。それで狩猟に繋がることも多いのですが、ワークショップのメインはやはり自然の中で生きるための技術全般です。

雄鹿のラッティングコール

 

10月から12月くらいの発情期に雄鹿は発情鳴き(ラッティングコール)をします。メスにアピールしたり、他の雄に自分のテリトリーを主張するためです。

 

「ぴぃーーよーーーー」

「ぴぃーーよーーーー」

 

「ぴぃーよーー」

 

という感じです。

鹿笛で鹿を寄せる

 

鹿笛でラッティングコールを吹けば、雄鹿が鳴き返して来たり、ガサガサ駆け寄って来たりします。雌鹿も寄ってきます。これで鹿の位置を把握したり、待ち伏せしたりできるのですね。

 

 

 

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注意すること

 

・人間の存在がばれたらいくら鹿笛を吹いても寄ってこない

・雄鹿の実際の鳴き声を聞いて、不自然にならない頻度間隔で鹿笛を吹く

・雄鹿は自分より強そうな鳴き声には寄ってこないので、鹿によって鹿笛に対する反応は異なるし逃げる個体もいる

・待ち伏せする場合、鹿の来る方向や射撃方向、安全をしっかり確認しておき、身動きしない

・鹿笛を過信することなく、忍びの基本を忘れない

 

とこんな事に気を付けています。

常に撃ちやすい場所ばかりではない

 

下層植生が少なく視界の確保しやすい牧場やスキー場なら、鹿の発見や射撃も容易ですが、毎度そんなに好条件であるとも限りません。笹が茂っていたり、枝が多くてすぐ目の前まで鹿が来ないと撃てないということもあります。ラッティングコールが聞こえてくる方向から、鹿が接近してくる経路を予測したり、安定して狙撃できる場所の選定、射撃の障害になるような植生を除去したりと、いろいろできることはあります。せっかく鹿が近くまで来ても、ちょっとした物音や動きで鹿に逃げられる、枝が邪魔で撃てない、なんてことも十分起こりえます。

 

いろんな個体がいる

 

 

例えば半径250m以内でも、いろいろな個体がいます。

 

雄同士で鳴き合っていたり、その間でじっとしている雌鹿、他のところで静かにじっとしている鹿、人間の動きを鹿だと勘違いして確かめに来る雄などいろいろです。

忍びの基本を忘れず鹿笛を過信しない

 

鹿笛は面白いのですが、その使用に集中し過ぎるとけっこう失敗します。忍びの基本を忘れずにいれば鹿笛に反応しない鹿でも普段通り相手にできます。そして鹿笛は反応しそうな雄がいたり、射撃や待ち伏せに好条件だったりと、ここぞという時に使うくらいにしています。

あえて鹿笛を使わず忍んだとき

 

割と近くで雄鹿が鳴いていたのですが、熊笹壁に阻まれ接近困難、その鹿はスルーすることにしていました。その鹿とは反対方向の林内には、新しい足跡や糞、体を地面に擦った痕が多くあり、地図で見ると鹿が好きそうな地形がその先にあります。しかしその方向から鹿の鳴き返しは無い。もしかしたら静かにしていたい鹿がその先にいるかもしれないと思い忍んでみると、丸太のような黒いものが木の間に見えます。スコープで見てみると立ってじっとしている鹿の右肩でした。50mほど立射で仕留めることができたのが写真の鹿です。