Land Navigation

 

地図と方位磁石の使い方、要点、便利な情報などまとめておきます。

航法について

 

航法を知ることで、フィールドでの現在地を知ることができるので、遭難対策になる。また地形図や実際の地形を比較し、学ぶことで、獣のいる地形などにも気が付くようになる。

地形図を読む際のポイント

 

・地図の上方向が方眼北(今回は真北と捉えてよい)

・地図を読むときは地図の方眼北と実際の真北を合わせる

・等高線の細い線間隔は10m、太い線は50m

・等高線が狭いと急な地形で、広いとなだらかな地形

・尾根は標高が高くなるとまとまっていく

・沢は標高が下がるとまとまっていく

・1/2.5万地図は細かな地形が見れる

・1/2.5万地図は地図上cmが実距離250m

・1/5万地図は広域を見ることができる

・1/5万地図は地図上1cmが実距離500m

方位磁石を使う際のポイント

 

・北の種類と偏角を理解し、修正する

・鉄、電子機器、送電線など磁気を帯びたものはX

・方位角を測るときはコンパスを水平に、目の近くに持つ

・方位角を測るときは遠くのわかりやすい目標を目指す

・方位磁石は透明で平ら、定規付きだと地図と合わせて使いやすい

・予備を持つ

・LOG「即席方位磁石」も参考にしてください。

北には種類がある

 

真北…北極の方向

磁北…地球磁場の磁北極方向で、日本だと西に約7度傾いていて偏角という

方眼北…地図の真上の方向(今回は真北と捉えてよい)

 

偏角の修正が必要

 

・偏角を修正しないで移動すると、目標地点より西にずれて到着

偏角の修正方法①後で方位角を修正する

 

・地図上で方位磁石が目標までの方位角を10度と示した場合、偏角は西に約7度傾いているので、実地では東に7度プラスした17度が目標までの正しい方位角となる。この場合、磁北の西側の傾きをマイナス方向、東側の修正分をプラス方向と考えてよい。

 

・近距離なら磁北は考慮しなくても進行にそんな影響ないが、100m以上離れると到着地点がけっこうずれてくるので注意


(←North Magnetic Pole Wikipedia より引用 現在の磁北点はカナダからシベリアの方へ急速に移動している)

 偏角の修正方法②事前に地形図に磁北線を描いておく

 

・地形図に磁北線の偏角、西に7度線を引きます。同じ間隔で平行に何本か引くと使いやすいです。

 

・地図を現地で北に合わせるとき、地図に引いた磁北線と方位磁石の磁北を合わせる。そうすれば地図の方眼北は真北に合される。

 

・地図に引いた磁北線を基準にして、地図上で方位角を求めた場合、それが実際の真北を指す修正済の方位角となる。

 

現在地を知る

 

・高度と主要な地形、稜線、頂上を知る

・太陽の向きを体感する

・痕跡の追跡技術を知る→LOG「追跡術」

・わかりやすい地形、尾根、頂上、鞍部を気にする

・わかりやすい地物、送電線、ダム、発電所など気にする

後方航海法

後方航海法

 

・明確な2点の地形や地物から、逆方位角線を求めて、その交点から自分の現在地を確認する方法

 

・ある程度地図と現地での特徴ある地形や位置関係がわかっている事が前提

 

・逆方位角を知る

まず明確な地形の方位角を求める。

 

 方位角が180度より大きい値であれば、

 

  方位角-180度=逆方位角

  Ex)方位角340度-180度=逆方位角160度

 

 逆に方位角が180度より小さい値であれば、

 

  方位角+180度=逆方位角

  Ex)方位角37度+180度=逆方位角217度

 

・2点の逆方位角線の交点が自分の現在地になる

左の地図ではとりあえず青と緑の旗のピークが明確だと仮定した場合、そこから方位角、逆方位角線、その交点を求める。

歩測で移動距離を測る

 

・歩数を測ることで数m~数Kmの距離を計測できる

・例えば10mで歩数を測った場合7歩だと…

 

 1m0.7歩←10m7歩→50m35歩→100m70歩

         or

 0.7m半歩←1.4m1歩→10m7歩→50m35歩→100m70歩

 

・正しく方位磁石と地図、歩測を使うことで視界の悪い状況でも目標地点へ移動できる。

航法に必要な道具

 

・方位磁石国産Vixenやフィンランド製SUNTOが安価で性能も安定している。

・地理院地形図‐目的と使用地域に合わせて1:25000、1:50000を選択する

・ジップロック‐紙地図の防水に使う

・GPS専用端末‐GARMIN製が稼働時間、耐候性、操作性など優れる

・スマートフォンGPS機能‐身近な端末で専用アプリも出ていて使い易い

・PCとGISソフト‐地図情報やGPS端末で集めた情報を編集できる

GISソフト

 

・GIS→Geographic Information Systemの略

・GISソフトやGPS端末などのIT機器を使うことで、航法技術が格段に速く上達する

・様々な種類の地図レイヤを見れる。地理院地図、CS立体図(3d地図)、航空写真、衛星写真など

※基本となる航法技術を知っているのが大前提

・カシミール3DやQ-GISは有名なフリーソフトで、GARMIN製GPSとの連動、操作が簡単、機能も充実している。

・IOSでは「フィールドアクセス」アプリケーションが使い易い

・Androidでは「ジオグラフィカ」アプリケーションが使い易い

カシミール3D

 

・実際の山歩き、地図判読と方位磁石、GPS端末などと相性のよいGISソフト

・基本フリーで使える

・移動経路や地点情報、地図画像など作成編集して、GPS端末に入れて現地で見ることができる。

・GPS端末で集めた情報も、カシミール3Dに取り込んで確認、編集できる。

活用の例として1

 

・地元の猟場で集まったGPSデータをカシミール3Dに取り込み、地形図と比較する。

 

・緑線は忍び猟で巡回した経路

・赤旗は獣のいそうな地形

・青旗は罠設置個所で獣の痕跡有り

・鹿印は鹿の目視と捕獲個所

 活用の例として2

 

・カシミール3dで編集した磁北線入り等高線地形図をGoogle Earthやスマートフォン上でも見れる。

地図上で野生動物のいそうな場所を予想する

LOG「追跡術」内の「野生動物を探すコツ」で出てきた「特別な場所の法則」に当てはまる場所、「野生動物のプロファイリング」で調べた動物が好きそうな場所を探してみる。例)ニホンジカ

 

・①の赤マルの中は、四方から尾根が集まっていて鞍部が3つ見える

  →動物の道が集まっていそう。植林地なので冬でも薄暗く、移動時は注意。落ち葉は少ないので足音はしにくいかも。

・②の赤マルの中は、主稜線のすぐ南下に平らな場所があり、広葉樹と杉人工林がある。

  →広葉樹のどんぐり餌場、杉人工林は水が湧き出る事が多く、日陰なので獣の良い隠れ場所になり得る。

・③の赤マルの中は、主稜線の間にある大きな鞍部がある

  →平らで広い鞍部は、交通の要衝になりえる。

・④の赤マルの中は、とにかく平らで、人工林、水源、作業道が目立つ

  →朝早くいけば、鹿に出会えそう。人工林地は皆伐地や植林地がある可能性があり、日当りもよく餌となる下草が多い。

   作業道などの道は、冬場に獣が好んで使う。