Aim Point

 

 

フィールドでの射撃で感じたことを載せていきます。

 

成功や失敗、安全管理などのことです。

 

僕のフィールドでの射撃は、忍び猟で発見後の狙撃が多いのですが、射距離は林内で10m-70mほど、射角は撃ち上げ、撃ち下げが多く、水平の時はほぼ無いです。例外があるとすれば誘引狙撃の時くらいです。銃はサベージF212の場合です。

撃っていはいけない時

 

目標が空際線上・スカイライン上にいる時はバックストップを確認できず危険なため撃てません。弾が目標に命中せず向こうまで飛んで行くこともあるし、命中した場合でも、弾は目標内部に留まったり、内部構造による影響を受けて、予想しない方向へ貫通することもあります。

 

鹿は何か感じた時じっとしてるのですが、ちょっと高いところに立って集中してる感じの時があります。その立ち位置のせいで撃ちにくい事もあります。

 

 

「鹿が居る=人が周りにいない」は危険

 

 

笹薮の中に雄鹿の角だけ見えていて人間は居るはずがない状況、しかしバックストップは見えない。おおよその狙いで撃てば命中することもあります。確かに奥山で鹿が濃い植生の中にいて、しかもその中に登山者なども居ることはまず無いですが、それでも危険なのでそんな時は撃ちません。見えない岩にあたって跳弾もありえます。

やるときは正確に狙う

 

よく見えない状態で撃つ事は、誤射や失中だけでなく、獲物を半矢にして不必要に苦しめたり、変なところを撃っておいしい肉をだめにしてしまいます。何も良いことは無いです。そんなことを続けていたらいつか事故につながります。

実際に撃つ時

頭部

 

成功すれば目標を即倒させられるので有効ではあります。誘引狙撃で使えます。

僕は最初の1頭を射距離80mほどで偶然ヘッドショットで取とってしまい、その後は調子に乗ってヘッドショットを狙っていた時がありました。しかし2回獲物の下顎に着弾して、獲物を半矢にしてしまいました。1回目は回収できましたが砕けた下顎が頭からぶら下がり、それでもよろよろ逃げていました。2回目は砕けた下顎のみ発見し回収不能、何処かで死んだはずです。悲惨な苦しみを不用意に与えてしまい、自己嫌悪でした。以後よほど条件が良くない限りはヘッドショットは狙わなくなり、頭は早く動くこともあり簡単ではないと思っています。

 

ライフルならもっとヘッドショットを狙うかもしれませが、ライフルでも同じことは起こり得るので注意が必要です。

頸部

 

首も目標を即倒させられるのでいい場所です。頭同様、首も比較的動くので簡単ではないです。頭蓋骨に近くて太い部分が狙いやすいです。命中すれば肉も傷めず獲物も苦しみません。

心臓 

 

心臓の場所の目安ですが、鹿が直立の場合、前足肘のすぐ後ろで体の底面から1/3くらいの場所です。横になっていれば心臓はもう少し上に位置します。心臓と肺は重なっているので、どちらも一緒に破壊できる場合があります。ネックショットもそうですが、脳への酸素と血流を止めるため、獲物も苦しまずに済みます。ただ、たとえ心臓を破壊しても数十m逃走することもあるのは驚異的です。一瞬弾が外れたかのように錯覚します。

個人的には失敗が少なく一番狙う場所です。

 

腹部

 

胃から腸まで、どこか消化器官に当てるとそこから腸内細菌が広がり肉の汚染につながります。獲物はやはり死ぬのですが、しばらく全速力で逃げることができ、回収不能になってしまう事があります。出血が少ない場合もあり追跡が困難です。ここを狙うことは無いですが、以下のような場合に撃ってしまう可能性があります。

林内でバイタルエリアが見えない

 

立木に鹿のバイタルエリアが隠れて、撃てる部位は腹部かお尻のみ。でも撃ちたい、とりあえず捕りたい、なんて焦ったり思ったりしていると撃ってしまうのですね。だいたい失敗して、血痕や体毛、臓器の断片など落ちてるけど追跡不能になる、命中していたのかもわからない、とかになってしまいます。大腿骨や骨盤を破壊すれば走れなくなりますが、それができなければやはり逃げられるし、そもそも肉が台無しです。残るのは無駄弾の消費記録と後悔の念です。

 

座っている、丸まっているのでバイタルエリアが見えない

 

地面に丸まって寝ている鹿を見つけることがあります。上からだったら鹿のバイタルエリアが見えるのですが、毎回そんなにいいポジションとは限りません。特に自分の方が下から見上げる場合、だいたい背中やお尻の上の方しか見えないです。鹿は座ったり寝ていると、鹿体内の心臓位置も直立時より下がっているので、よけいに致命傷を与えにくいです。こんな時に撃っても、やはり全速力で逃げられます。

”撃たない判断”力と観察すること

 

撃たないことを選択できる判断力って簡単なようで難しいです。難しい状況でも、焦りや欲に駆られて撃ってしまうのですね。そして獲物は回収できなかったり、その仲間はさらに捕りにくくなってしまったり、危険だし、良い事はないです。そんな時は、深呼吸して冷静にって獲物やその周囲を観察します。もしかしたら獲物はそこから立ち去ってしまったり、撃ちやすいポジションに移動してくれるかもしれません。近くにもっと仲間がいるかもしれないし、仲間がいたら彼らそれぞれの個性も観察して勉強になります。例えいま一頭取れなくても、観察を続けていればいつか複数頭同時に捕れる日だって来ます。だから目先のたった一頭の鹿をあえて苦しめたり、危険行為に及ぶ必要はまったくありません。

取った後

 

例え獲物を即死させた場合でも、目玉とか四肢、皮膚などが動くのですね。獣医に聞いたら死んだ後も神経活動のためにそんなこともあり、苦しんでいたりするわけでは無いそうです。

安全で質の高い狩猟を目指して

 

個人的には、丁寧に獲物を取れるように、日々事故の無いように安全に狩猟を続けて行きたいです。それが自分や鹿の為にもなる気がします。この記録はまた更新したいと思います。

猟場で感じたこと

そんなに無理して撃たなくても…

 

理由があって撃たない時はよくあるのですね。獲物の向こうに大きな道路がある、バックストップが見えない、お尻しか見えていないとか。良くないグループ猟だと撃たなかった事をやいやと言われる事があるのですが、撃たなくて正解です。それに他の人が無理して撃って獲物の消化器官を破壊しているのも多々見ます。しかもその肉を皆で分けてる…

 

ほんとに僕個人の思いですが、ただ傷つけるだけ、撃つだけならやらない方が良いです。それよりも獲物のいる場所や行動を予測したり、発見や接近技術を磨いたりと狩猟者としての腕をずっと磨いて行きたいです。

射撃は自分で考えて決める

 

同じく良くないグループ猟だと、「大丈夫や、バレんから早く撃ってしまえ」とか急かされたりやいやと言われる場合があります。捕獲許可の無いカモシカまで撃てという人もいます。まあ何かあっても自己責任になってしまうので、そこは冷静になってどうするか自分で判断して決めるのがベストです。撃ってしまった弾丸はもうどうしようもありませんが、撃たなくても次に繋げることができます。