野生動物の身体の使い方を学ぶことで、獣を見つけ、近づいたりできます。また射撃や危険回避等にも役立ちます。
野生動物に学ぶ体の動かし方
野生動物を見つけ近づくためには、野生動物と同じ動きをする事が大切で、以下の基本の二つが重要です。
・きつね歩き
・ふくろうの目
この二つは野生動物を見つけ近づくためだけでなく、体力の温存や、五感を高めて危険予知などにも役立ちます。
きつね歩き
・Fox Walk, FW ともいう
・必要最小限の力で動く、体力を節約する歩き方
・足の感覚で地面の様子や安全を感じながらゆっくり歩く
・歩行時に体の上下左右の揺れを無くすので、体力消耗、関節や筋肉への負担を軽減する
・歩行時の左右の足幅を狭くして歩くので障害物が減る
・急がない分、周囲に気を配れるようになる
姿勢
・リラックス !
・膝は力んで張らずに、軽く曲がるくらい力を抜く
・方の力を抜き、両手は軽く太ももに添える感じ
・背筋はまっすぐ伸ばす
・視線は遠くへ、足元は見ない
足の動き
・足を上げる
・①小指外側からそっと地面に接地
・②母指球を接地
・③かかとを接地
・①~③の中で地面の安全を感じたら体重をゆっくり乗せる
履物
・寒くない時期であれば履物は次のポイントが大切です。
・薄いソールで地面が感じられる
・全体的に軽い
・通気性がいい
・下の写真のようなスニーカー、ウォーターシューズ、地下足袋などGood
ふくろうの目
・Wide angle vision,WAV, Owl Eye ともいう
・広い視野で周囲を見ること
・視野を広げることでリラックスできる
・同時に視覚以外の感覚も働くので、五感など原始的な感覚が高まる
・些細な変化に気が付きやすい
・野生鳥獣は危険予知のためにほとんどの時間をこの状態で過ごす
実際の狩猟中では…
基本山の中では基本の2つ、狐歩きとふくろうの目を常に維持しています。必要に応じて後述の動きも使いますが、やはり一番大切なのは基本の2つです。
鹿歩き
・4歩に1度くらい停止し、周囲の気配を感じる
・鹿の大きな耳をイメージし、時に手を耳に当てて音を増幅してみる
・獣がいた場合必要なら上げた足は上げっぱなしで完全に停止
し、木化けする
実際の狩猟中は…
特に獣の痕跡の濃い場所で鹿歩きをすると、獣に気が付けます
木化け
鹿はよく木化けしています。人間よりも先に鹿が気配を気づいて、完全に静止し木に化け、こちらの気配を全力で探っているのです。そんな状態の鹿に接近するすべはほぼありません。鹿に気づかれている距離なら、自分の足をほんの数センチずらした音ですら気付かれて先手を打たれます。逆に鹿歩きや木化けを真似することでこちらが優位に立てる状況もあります。僕の射撃や狩猟の先生は何時間でもいろいろな姿勢で静止する達人でした。
じっとすること
意外と難しいです。長時間、いろいろな姿勢だと尚のこと…木化けにも通じるのですが、じっとする能力は一番簡単で有効な護身術なので、全ての野生動物の幼獣が本能的に備えている能力です。
隠れるの基本は動き方
Camoflage, 擬装など隠れる事の基本は動きからなんですね。じっとしている能力や獣の動きができれば、カジュアルな服装でもけっこう獣に接近できます。逆に完璧なカモフラージュ服を着ていても、動きが微妙だとアウトです。
もう、動き方からカモフラージュは始まっているのですね。
カモシカ立ち
カモシカはじっと立っていると、そのずんぐりした体や毛皮の色のおかげで切り株や岩に見えます。彼らもじっとする達人で、数時間余裕で動かないこともあります。
ネコ歩き
両ひざ両腕を地面について姿勢を低くした移動方法です。接近など忍びの動きで使います。
シャクトリムシ
腹ばいになって進む最も姿勢の低い移動方法です。進む距離はゆっくりで短いですが、その分、自分のシルエットや雑音をかなり低減できます。全身運動なので慣れないと疲れます。
タカの目
実際の動きがあるものではないのですが、ホークアイというイメージ法と言っていいと思います。タカのようになった気持ちで上空からエリアの様子をイメージして獲物のいそうな場所や動きを感じ取ります。先住民系の猟師が使う手法ですが、その地域の地形や動植物の観察が十分にできて消化吸収していると機能します。
射撃にも動物の動きは役立つ
・リラックスした姿勢での据銃
・自分のシルエットを小さくした据銃
・据銃しながらの歩行
・射撃しながらも周辺視で周囲を感じ取る
・動物的ななめらかでスムーズな動きは目立ちにくい
いろいろ利点があります。